教授挨拶
高度救命救急
 ヘリに搭乗して医療スタッフが現場へ出動することは、迅速な初期治療を可能とし、救命率を向上につながる重要な戦略と考えられます。
 東海大学では平成11年から、厚生省(当時)の試行的事業を行い、1年半の期間に485名の救急患者様を搬送しました。本試行的事業ではドクターヘリによって55名の患者が救命されたと考えられ、同じく試行的事業を担当した川崎医大の結果と合わせてドクターヘリの医学的有効性が証明されました。この結果をふまえ、平成13年より国の事業として正式にドクターヘリ事業は展開されるようになりました。
 平成14年からは神奈川県の事業として再開し、東海大学ドクターヘリシステムは、年間350から400名、現在(平成19年3月)まで約1800名の患者様を搬送しています。主な出動地域は神奈川県西部・山梨県などに集中しています。
 ドクターヘリは、救急隊の隊長から、要請があったときに、東海大学病院敷地内のヘリポートから救急現場へ向けて飛び立ちます。神奈川県では出動要請から現場に到着するまで、平均11分ほどです。医師が現場に到着したその瞬間から初期治療が始まるわけです。救急車で救命救急センターに患者様を搬送するよりも、ずっと早いタイミングで初期治療が開始されることが、救命率向上のもっとも大きな理由と考えられます。
 ドクターヘリ事業予算は年間約1億8000万円ほどです。半分は国から、あとの半分は主に県が負担しています。税金で行っている事業ですから、ヘリで搬送された患者様が負担する費用ですが、病院と同様、治療費はかかりますが、へリ搬送のための特別な費用はかかりません。
 ドクターヘリは、近くに医療機関がないような地域からでも、短時間で救命センターに救急患者様を搬送することが可能です。いわば救急医療の地域格差をなくす、新しい搬送手段として、その重要性が注目されています。
 さらに今年度の国会では、いよいよドクターヘリ法案が議員立法で提案される予定です。この法案が可決されれば、全国にドクターヘリが配備され、わが国の救急医療体制がいっそう充実することが期待されています。